不動産の相続登記(名義変更)の流れと費用|義務化された相続登記をやさしく解説

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「親の家を相続したけれど、名義変更をしていない…」
「相続登記が義務化されたって聞いたけど、具体的に何をすればいいの?」
「自分でできるのか、司法書士に頼んだ方がいいのか分からない」

相続で不動産(土地・建物)を引き継いだ場合、相続登記(名義変更)は避けて通れない手続きです。さらに近年、相続登記は義務化され、放置していると過料(罰金)の対象になる可能性も出てきました。

この記事では、初めての方でも流れがイメージできるように、

  • そもそも相続登記とは何か
  • 義務化されたポイントと期限
  • 相続登記の具体的な流れ(ステップ別)
  • 必要書類一覧(遺言書あり/なし)
  • 費用の目安(登録免許税・司法書士費用)
  • 自分でやる場合と専門家に依頼する場合の違い

を、できるだけ分かりやすく解説していきます。


1.不動産の「相続登記(名義変更)」とは?

相続登記とは、亡くなった人の名義になっている不動産を、相続人の名義に変更する登記手続きのことです。

登記は「不動産の名簿」のようなもので、

  • 誰がその土地・建物の所有者なのか
  • どんな権利が付いているか

を法務局で管理しています。

1-1.相続登記をしないとどうなる?

相続登記をしないまま放置していると、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 売却・担保設定ができない(名義が亡くなった人のままでは取引できない)
  • 固定資産税の通知がずっと亡くなった人宛のままになる
  • さらに次の相続が起こると、相続人が雪だるま式に増え、話し合いが不可能に近くなる

こうした「所有者不明土地」問題が全国的な社会問題になったこともあり、相続登記の義務化が進められました。


2.相続登記は原則「義務化」された|いつまでにやるべき?

法改正により、相続登記は原則として義務化されました。

2-1.義務化のポイント(イメージ)

  • 相続(遺言による取得を含む)で不動産を取得した人は、原則としてそのことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならない
  • 正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料(罰金)の対象となる可能性がある

「義務化されました」と聞くとドキッとしますが、
裏を返すと、

「3年以内にきちんと登記しておけば、原則OK」

ということです。

2-2.過去の相続分も対象になることがある

今回の義務化は、今後の相続だけでなく、

  • すでに昔の相続で名義が変わっていない不動産

も対象になることがあります。

親だけでなく、祖父母名義のままの土地・山・田畑などがある場合は、
「うちは昔の名義のままの不動産がないか?」を一度家族で確認しておくことをおすすめします。


3.相続登記の全体フロー|ざっくり流れをつかむ

相続登記の手続きは、ざっくり言うと次のような流れです。

  1. 相続人を確定する(戸籍を集める)
  2. 不動産の内容を確認する(登記簿・固定資産税通知書など)
  3. 「誰がどの不動産を相続するか」を家族で話し合う(遺産分割協議)
  4. 遺産分割協議書を作成する(または遺言書の内容を確認)
  5. 法務局に相続登記の申請をする(必要書類を揃える)
  6. 登記が完了し、新しい名義人が登記簿に記録される

それぞれのステップについて、もう少し詳しく見ていきます。


4.ステップ①:相続人を確定する(戸籍の収集)

不動産の名義を変える前に、「誰が相続人なのか」をはっきりさせる必要があります。

4-1.集める主な戸籍

  • 被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍など)
  • 相続人全員の現在戸籍

再婚・養子・認知などがある場合、戸籍が複数の市区町村に分かれていることもあります。

4-2.相続関係説明図を作っておくと便利

家系図のような形で、

  • 被相続人
  • 配偶者
  • 子ども

との関係を図にした「相続関係説明図」を作っておくと、法務局に提出する際にも便利です。


5.ステップ②:不動産の内容を確認する

次に、相続の対象となる不動産がどこに・どれだけあるのかを把握します。

5-1.手がかりになる書類

  • 固定資産税の納税通知書
  • 登記識別情報通知(旧:権利証)
  • 不動産会社や司法書士からの過去の書類

これらの情報をもとに、

  • 所在地(例:〇〇市〇〇町〇番〇)
  • 地番(登記簿上の番号)
  • 種類(土地/建物)

を確認していきます。

5-2.登記事項証明書を取得する

法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得すると、

  • 現在の所有者(亡くなった人の名義)
  • 地目・地積
  • 抵当権などの権利関係

が確認できます。


6.ステップ③:誰がどの不動産を相続するか話し合う(遺産分割)

相続人と不動産の内容が分かったら、「誰がどの不動産を引き継ぐか」を家族で話し合います。

6-1.遺言書がある場合

  • 遺言書に「自宅は長男に相続させる」などと書かれている場合、その内容に沿って登記するのが基本

ただし、相続人全員が合意すれば、遺言とは異なる分け方をすることも可能です(慎重な検討が必要)。

6-2.遺言書がない場合

相続人全員で話し合いを行い、その結果を「遺産分割協議書」として書面にまとめます。

例:

第1条 被相続人 〇〇〇〇の自宅不動産(所在:〇〇市〇〇町…)は、長男 〇〇〇〇が相続する。
第2条 上記不動産以外の預金等については、相続人全員で各1/3ずつ相続する。
(以下略)

遺産分割協議書には、

  • 相続人全員の署名
  • 実印による押印
  • 印鑑証明書

が必要になります。


7.ステップ④:相続登記に必要な書類一覧

相続登記で一般的に必要となる書類は、次のようなものです。

7-1.共通で必要な書類

  • 相続登記の申請書(法務局の書式・ひな形あり)
  • 被相続人の戸籍(出生から死亡まで)
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の現在戸籍
  • 固定資産評価証明書(市区町村役場で取得)

7-2.遺言書がある場合に追加で必要となるもの

  • 遺言書(公正証書/自筆証書など)
  • 遺言執行者がいる場合はその資格を証する書面

7-3.遺言書がない場合(遺産分割協議)の場合に必要なもの

  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書

詳細は、申請先となる法務局のホームページや窓口で確認できます。


8.ステップ⑤:法務局への登記申請と期間

必要書類が揃ったら、管轄の法務局に相続登記を申請します。

8-1.どこの法務局に申請する?

  • 不動産の所在地を管轄する法務局

同じ相続で複数の市区町村に不動産がある場合、それぞれの管轄法務局に申請が必要になることもあります。

8-2.登記完了までの期間

法務局の混雑状況や、申請内容の複雑さにもよりますが、

  • おおむね数日〜数週間程度

で完了することが一般的です。

書類に不備があると、補正(修正)の連絡が来て時間が延びるため、
不安があれば事前に法務局の相談窓口や司法書士にチェックしてもらうと安心です。


9.相続登記にかかる費用の目安

相続登記にかかる費用は、大きく分けて次の2つです。

  • 登録免許税(国に払う税金)
  • 司法書士に依頼する場合の報酬

9-1.登録免許税の計算方法(ざっくりイメージ)

相続による所有権移転登記の登録免許税は、

固定資産評価額 × 0.4%(1000分の4)

をベースとして計算されます(税率は法改正等で変動する可能性があるため、最新情報は要確認)。

例:固定資産評価額が2,000万円の自宅の場合

2,000万円 × 0.4% = 8万円

といったイメージです。

9-2.司法書士報酬の目安

司法書士に相続登記を依頼する場合、

  • 不動産の数
  • 相続人の数
  • 戸籍の収集を依頼するかどうか

などによって変わりますが、

  • 数万円〜十数万円前後

となることが多いです(事務所によって幅があります)。

費用だけを見ると「高い」と感じるかもしれませんが、

  • 戸籍の収集
  • 申請書の作成
  • 法務局とのやり取り

などを任せられるため、時間と手間をお金で買うイメージに近いです。


10.自分でやるか、司法書士に依頼するか

10-1.自分でやる場合に向いているケース

  • 相続人の数が少ない(例:配偶者と子1人など)
  • 不動産の数が少ない(自宅のみなど)
  • 書類の取り寄せや法務局とのやり取りを自分で進める時間がある
  • 費用をできるだけ抑えたい

10-2.司法書士に依頼した方が安心なケース

  • 相続人が多い/全国に散らばっている
  • 不動産が複数の地域にまたがっている
  • 過去の相続が絡んで複雑になっている
  • 家族間で揉めている、もしくはその気配がある
  • 自分で書類を用意する自信がない

相続登記は、「一度間違えるとやり直しが大変」な手続きの一つです。
不安があれば、最初から司法書士に相談してしまうのも十分合理的な選択です。


11.よくある質問(Q&A)

Q1.相続登記をしないで持ち続けることはできる?

A:法改正により、原則として相続登記は義務化されています。
すぐに罰金が科されるわけではないにせよ、放置すると将来の売却・活用・次世代への相続に大きな支障が出るため、おすすめできません。


Q2.固定資産税の名義(納税通知書の宛名)と登記名義が違っていても大丈夫?

A:よくあるパターンですが、「納税通知書の宛名が誰になっているか」と「登記名義人が誰か」は別の話です。
税金の宛先だけ変えても、登記名義を変えない限り、法律上の所有者は亡くなった人のままです。


Q3.祖父名義の土地がそのままになっているが、どこから手をつければいい?

A:過去の相続が何度も重なっているケースでは、相続人の数が非常に多くなることがあります。
このような場合は、早い段階で司法書士など専門家に相談し、

  • 誰が相続人になるのか
  • どの順番で手続きを進めるべきか

を整理してもらうのが現実的です。


12.まとめ|相続登記は「放置しない」が最大のポイント

不動産の相続登記(名義変更)は、

  • 相続人の確定(戸籍集め)
  • 不動産の内容確認(登記簿・固定資産税)
  • 家族での話し合い(遺産分割)
  • 法務局への登記申請

というステップで進めることができます。

法改正により、相続登記は原則として義務となり、

  • 相続で取得したことを知ってから3年以内

に手続きすることが求められるようになりました。

相続登記を放置すると、売却や活用ができないだけでなく、次の世代でさらに手続きが複雑になってしまいます。
「いつかやろう」ではなく、「3年以内にきちんと終わらせる」ことを意識して動いていきましょう。

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